あや子江古田気分

台湾人生というドキュメンタリーを観に東中野ポレポレに行く。

それもはりきって自転車で行ったためさんざん道に迷う。地図で見たらまっすぐ

行って右に行くだけのはずだったのに、そういうところでわたしは、裏切らない。

クタクタになってやっと到着。ギリギリになちゃった、と汗を拭きながらチケッ

トを買おうとしたら、台湾人生は1週間前に終了していた。

ここでもわたしは裏切らなかった。唖然。。。

どうしてもこのまま帰りたくないのでしょうがなく「美代子阿佐ヶ谷気

分」といういかがわしいタイトルの映画をひとりで観ることに。

しかしこれが思いがけず懐かしさを誘ういい映画であった。

そう、時代はガロであり、ガロは文学であった。(とはいってもわたしはこの時

代にはまだ生まれていないけど)

映画を見ながら、時代の空気感というかなんというか、わたしはこれに似たやる

せなさと、なぜかたたみの匂いを思い出していた。

それはあや子江古田気分という時代だった。

わたしは冴えない日芸生で、江古田というイモくさい町に住んでいた。

木造2階建て古い一軒家の8畳ひとまが私の宇宙だった。もちろん風呂はない。

板の間を改造してつくった1畳半の暗室がわたしの自慢であった。

下には82歳の上品なおばあちゃんがひとりで住んでおり、毎月おばあちゃんに

家賃を持って行く。家賃はとなりの駐車場より安かったと同じくらいだったと思

う。一つ屋根の下で、赤の他人である82歳のおばあさんとの暮らしは8年間も

続いた。

「わたしこのアパートで幸せ。平和よ。わたしたちだけ幸せならそれでいいじゃ

ないの。」と言ったかどうかは覚えていないが、わたしは一度も普通の学生の普

通のアパート生活に憧れることはなかった。

この漫画(=文学)にもなりそうなシチュエーションを誇りにさえ思っていた。

なんといったて、わたしは芸術家を目指していた(=頭がおかしかった)のだから。

つづく

2009-09-25 | Posted in BLOGNo Comments » 

台湾

雨。

朝からずっとダラダラしたあげくこのままではいけないと無理やり新宿に出る。

ダラダラさまよったのち、やっぱりきょうはずっとだめだと分かる。

そうするとむしょうに野暮な映画が観たくなった。

そこで私が選んだのは台湾の映画「9月に降る風」だった。

舞台は1997年の台北近郊の町。

(なにをかくそうわたしはその当時台湾にいて、1年半ものあいだプラプラ遊ん

でいた。中国語の勉強に明け暮れていた。)

台湾の青春映画。それはなんとなく10年前の日本のテレビドラマっぽくて、ま

あまあそれなりの展開。

高校生が煙草を吸うシーンがやけに多くて変だった。私はそれを他の人はどう観

ているだろうかということのほうが気になってしょうがない。

ちょっと過剰に安っぽいところ、そのヤサグレ感がまさに台湾なのだった。

台湾特有の舌ったらずな北京語が懐かしい!もうそれだけで大満足ぅ〜。

それにバックに流れる張恵妹の歌が懐かしい!ああ懐かしい!懐かしい!

張恵妹の歌をくちずさみながら雨の新宿を歩いていたら、安い酒を飲まずにはい

られない気分に。

きょうわかったことは、みっつ。

1、台湾はいつまでもわたしのための台湾でいてくれるのだということ。

2、懐かしむこととは、なにかを片付けることではなく、なにかを増やすこと

なのだということ。

3、わたしはいつまでもダメ人間だということ。

一度刺したニードルはなかなか抜けない。

2009-09-12 | Posted in BLOGNo Comments » 
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