2009-09-25

あや子江古田気分

台湾人生というドキュメンタリーを観に東中野ポレポレに行く。

それもはりきって自転車で行ったためさんざん道に迷う。地図で見たらまっすぐ

行って右に行くだけのはずだったのに、そういうところでわたしは、裏切らない。

クタクタになってやっと到着。ギリギリになちゃった、と汗を拭きながらチケッ

トを買おうとしたら、台湾人生は1週間前に終了していた。

ここでもわたしは裏切らなかった。唖然。。。

どうしてもこのまま帰りたくないのでしょうがなく「美代子阿佐ヶ谷気

分」といういかがわしいタイトルの映画をひとりで観ることに。

しかしこれが思いがけず懐かしさを誘ういい映画であった。

そう、時代はガロであり、ガロは文学であった。(とはいってもわたしはこの時

代にはまだ生まれていないけど)

映画を見ながら、時代の空気感というかなんというか、わたしはこれに似たやる

せなさと、なぜかたたみの匂いを思い出していた。

それはあや子江古田気分という時代だった。

わたしは冴えない日芸生で、江古田というイモくさい町に住んでいた。

木造2階建て古い一軒家の8畳ひとまが私の宇宙だった。もちろん風呂はない。

板の間を改造してつくった1畳半の暗室がわたしの自慢であった。

下には82歳の上品なおばあちゃんがひとりで住んでおり、毎月おばあちゃんに

家賃を持って行く。家賃はとなりの駐車場より安かったと同じくらいだったと思

う。一つ屋根の下で、赤の他人である82歳のおばあさんとの暮らしは8年間も

続いた。

「わたしこのアパートで幸せ。平和よ。わたしたちだけ幸せならそれでいいじゃ

ないの。」と言ったかどうかは覚えていないが、わたしは一度も普通の学生の普

通のアパート生活に憧れることはなかった。

この漫画(=文学)にもなりそうなシチュエーションを誇りにさえ思っていた。

なんといったて、わたしは芸術家を目指していた(=頭がおかしかった)のだから。

つづく

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